この記事では、樹木を加害する “イラガ” について、当サイトの管理人 “kodachi” が本などで調べたことを記録しています。
目次
分類
“イラガ“ はチョウ目イラガ科に属する虫で(学名:Monema flavescens Walker)、九州以北に分布しています。
加害樹種
“イラガ” が加害する樹種には、サクラ類、ウメ、ケヤキ、カキノキ、ヤナギ類、バラ類、ツバキ、カシ類、ナラ類、カエデ類など多数の広葉樹があります。
形態
成虫:開張は約33mm。体は黄色、前翅の外側は赤褐色、外縁に沿って黒褐色の斜線が2本ある。
幼虫:成熟すると体長24mmに達し、頭部は淡褐色、胴部は緑色で前後に暗紫色紋がある。体表に毒刺毛がある不快害虫です。
幼虫の体表にある刺毛に触れると、激しい痛みを感じます。
繭:約15mmのウズラ卵に似た形。灰白色で黒褐色の縦縞模様があります(写真1)。石灰質で硬い。
生活史
- 成虫は年に1〜2回の発生で、6~9月に出現
- 成虫は葉面に1〜2粒ずつ産卵
- 第1世代幼虫は6〜7月頃に出現
- 幼虫は葉を食害
- 枝や股になった分枝部分に繭を形成(アイキャッチ画像)
- 繭の中で前蛹(まえさなぎ:蛹になる前の形態、写真2、写真3)で越冬
被害の特徴
- 孵化した幼虫は葉の裏から葉肉を(葉表を残して)食害するので、被害部分は白く透かし状になる
- 成長した幼虫は葉縁から食害する
- 放置すると樹全体が丸裸になることもある
- 幼虫の毒針に触れると、人に疼痛・紅斑・掻痒・腫張などの症状が現れる
防除方法
- 若齢幼虫集団を葉上に見つけたら、素手で触らないよう、毒針に注意して葉ごと処分する
- 発生が多い時は、早めに薬剤散布する
- 冬に繭を取り除く(木づちで叩き潰して退治する)
葉が落ちる冬には、繭が見つけやすくなりますので、よく観察しましょう。
使用できる農薬
”イラガ” に使用できる農薬には、
- BT水和剤
- DBEDC液剤
- エトフェンプロックス乳剤
- エトフェンプロックス・ジノテフラン・ミルベメクチン・ペンチオピラド水和剤
などがあります。
幼虫は成長すると薬剤が効きにくくなりますので、発生初期の使用を心がけてください。
下記の記事も参考にしてください。
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