シロスジカミキリ

この記事では、樹木を加害する “シロスジカミキリ” について、当サイトの管理人 “kodachi” が本などで調べたことを記録しています。

“シロスジカミキリ” は、「幹や枝に孔を開ける害虫(穿孔性害虫)」です。

目次

分類

シロスジカミキリ はコウチュウ目カミキリムシ科に属する虫です(学名:Batocera lineolata Chevrolat)

分布:インド東部から日本まで、東南アジアに広く分布。国内では本州以南に広く生息し、平地から低山地にかけての落葉広葉樹林に生息。

加害樹種

“シロスジカミキリ” が加害する樹種には、シイ類、カシ類(アラカシ、アカガシ、ウバメガシ)、ナラ類(クリ、クヌギ、コナラ、ミズナラ、カシワ、アベマキ)、ニレ類、ポプラ、ビワ、ドロノキ、ヤマナラシ、キリ、ヤナギ類などがあります。

その中でも、カシ類、ナラ類を好んで加害するようです。

形態

成虫:体長約40~70mm。体全体が灰色の微毛で覆われ、上翅は光沢のない灰黒色で、黄白色の明瞭な斑紋・縦筋がある。斑紋は死ぬと白色になる。触角の長さは体長と同じか1.5倍ほどで、メスよりもオスのほうが長い。

幼虫:成熟幼虫の体長は80mm程度。頭部は淡褐色、胴部は乳白色、胸部背面には褐色の顆粒がある。

”シロスジカミキリ” の寿命は、3週間〜1ヶ月程度です。

生活史

  1. 成虫は5~8月に出現し、小枝の樹皮を後食
  2. 後食後、樹皮をかみ破って産卵痕を付け、そこに1粒ずつ産卵
  3. 孵化した幼虫は初め樹皮下を食害し、成長するにつれ木部へ穿孔
  4. 幼虫は老熟すると材内に蛹室を作り、その中で蛹化し、成虫で越冬
  5. 翌春羽化して脱出

“シロスジカミキリ” は1世代に3~4年を要します(寄主の太さや栄養条件によって異なります)。

 被害の特徴

  • 壮齢な健全樹(幹や枝の直径が15cm程度)に好んで産卵する
  • 産卵部位はほとんどの場合、幹の下部に限られる
  • 産卵痕は直径1~2cm程度の円形、表皮がかじられて赤く見えきわめて明瞭、水平に連なって並ぶことが多い(ギャラリー内写真1、2)
  • 幼虫が侵入した部位では師管や道管が損傷するので、樹皮は再生してもささくれ立ったような状態になり、こぶ状に肥大したり、2~5cmの縦裂が生じる(ギャラリー内写真3)
  • 穿入孔からは1~3cmの繊維状の粗い木屑が多量に排出される(ギャラリー内写真4)
  • 侵入部にはトンネル状の食痕が残り、そこから木材腐朽菌が侵入して変色や腐朽が発生し、樹勢が衰えるとともに衰弱や風倒を引き起こす
  • 成虫は若枝をかじる(後食)ので枝枯れが目立つ
  • 成虫の脱出部には直径2cm程度の丸い孔が開く(ギャラリー内写真5)
ギャラリー

成虫や幼虫の写真を撮りたいなぁ・・・

防除方法

 物理的予防

地上1m以下の部分に厚紙を巻き付け、産卵防止(幼齢木で効果あり)。壮・老齢樹ではそれより上部に産卵してしまい、その後の防除が困難になる。

化学的予防

産卵防止を狙って地上2mぐらいの高さまで幹や枝にスミパイン乳剤(MEP乳剤)の50~150倍液を散布する。

物理的駆除

新しい産卵痕を見つけたら樹皮の上から木槌でたたいて卵をつぶす。木屑の排出孔から針金を差し込み、孔道内の幼虫を殺す(孔道は必ず上方に向かって伸びている)。幼虫が樹皮下で活動しているときは樹皮をはぎ、幼虫をとりだす。成虫は見つけ次第捕殺する。

化学的駆除

幹や枝の食入孔から殺虫剤を噴入し、殺虫

幹や枝の中に侵入した幼虫の駆除は難しいので、日頃の観察を密にしてできる限り予防に努めましょう。

使用できる農薬

  • MEP乳剤(幹や枝の表面に散布)
  • フェンプロパトリンエアゾル(食入孔にノズルを差し込んで噴射)

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