症状
5月初旬、ヤマザクラの葉に穴があいているのを見つけました(写真1&アイキャッチ画像)。
穴の大きさは径5mm程度でした。
周りの葉を観察すると小さな甲虫を見つけました(写真2)。
毛虫やアオムシなど、葉を食べている幼虫類は見当たりませんでした。
診断結果
見つけた甲虫が犯人かも・・・、と思いながら参考書を眺めていると、サクラの葉を摂食する甲虫(成虫)としてリンゴカミキリ、ルリカミキリ、ハンノキハムシ、バラルリツツハムシが見つかりました。
リンゴカミキリ成虫は葉脈を後食します。
ルリカミキリ成虫は葉脈、葉柄、新梢を後食します。
被害部(写真1)を見ると葉脈が残っているので、犯人は両カミキリムシではなさそうですね。
成虫も明らかに違いますしね(写真がなくてすみません)。
ハンノキハムシは成虫、幼虫ともに葉を摂食します。成虫は体長6〜8mmで卵形。全体に黒色で、藍色の光沢があります。春、葉が展開した後に、葉脈を残して葉を摂食します。加害する樹種は主にハンノキですが、その他にヤナギ類、サクラ類、カンバ類、シデ類などにも被害を与えるようです。
バラルリツツハムシ成虫もサクラの葉を食べるようです(幼虫はわかりませんでした)。
ハンノキハムシ成虫とバラルリツツハムシ成虫は、どちらも黒色で青藍色の光沢がある寸胴体型のハムシで、見分け方がわかりません。
樹木に発生する害虫として参考書によく紹介されているのはハンノキハムシなので、今回はハンノキハムシにしておきましょう^^;
防除方法
ハンノキハムシの生活史は、
- 新葉が展開するとともに、落葉下または浅い土中で越冬していた成虫が出現し、主脈を残しながら葉を摂食
- 交尾後、葉裏に黄色い卵を塊(30〜70粒)で産卵
- 孵化した幼虫は6〜7月に葉の両面から表面をかじり取るように網目状に摂食
- 老熟幼虫になると地上に降り、土中に浅く潜って蛹化(約2週間)、羽化(7~8月頃)
- 夏に羽化した成虫は秋まで葉を摂食し、その後、落葉下または浅い土中で越冬
ですので、今の時期だと
- 成虫を捕殺
- 被害葉とその周囲の葉の裏を小まめに観察し、卵を見つけて処分
- 孵化した幼虫を捕殺
これで被害を小さく抑えることができます。
大きな樹だと完全に防除するのは不可能ですが、 “ハンノキハムシ” の食害で樹が枯れることは滅多にありませんので、これでひとまずは乗り越えましょう。
使用できる農薬
“ハンノキハムシ” に使用できる農薬は見つかりませんでした。
”ハンノキハムシ” については下記の記事もご参照ください。
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