症状
5月初旬、ケヤキの葉の縁が茶色く枯れているのを見つけました(写真1&アイキャッチ画像)。
茶色く枯れた部分は少し盛り上がり、中に何かが入って袋状になっているようでした(写真2)。
さらに、茶色い部分を太陽にすかしてみると、中に幼虫のような影が見えました(写真3)。
診断結果
これは以前勉強した ”ヤノナミガタチビタマムシ” の幼虫による被害に違いない。
確認のために、茶色く枯れた部分を開いて中を観察すると、いました、中に幼虫が(写真4)。
ん・・・これ、 “ヤノナミガタチビタマムシ” の幼虫じゃないなぁ(写真5)。
“ヤノナミガタチビタマムシ” の幼虫はもっと細長くて、色も少し透けたような感じだけど・・・(写真6)。
参考書で調べ直しです。
ケヤキの葉に潜って葉肉だけを食べる害虫としては、”ヤノナミガタチビタマムシ” の他に “アカアシノミゾウムシ” が載っていました。
“アカアシノミゾウムシ” の幼虫の形態は以下のとおり。
- 体長は老熟幼虫では4〜5mm
- 体形はやや扁平、胸部の幅はやや広く、尾端に向かって先細って尖る
- 体色は頭部は褐色、胴部は黄色〜乳白色
ピッタリですね。さらに “” の被害の特徴として、
- 葉の主脈に1粒ずつ産卵(写真7)
- 孵化した幼虫は葉内を葉の先端や葉縁に向かって食い進む(写真8)
があります。
ということで、この害虫は “アカアシノミゾウムシ” の幼虫と診断しました。
防除方法
“アカアシノミゾウムシ” の生活史は以下のとおりですので、
- 年1回の発生
- 粗い樹皮下などで成虫体で越冬
- 4月中旬頃から越冬成虫が活動を再開し、葉を食害
- 4〜5月頃に葉の中脈に1粒ずつ産卵
- 孵化幼虫は葉内に潜り、表皮を残して葉肉だけを食害
- 5月中〜下旬に潜葉内で蛹化
- 新成虫は6月頃に羽化して葉を食害
- 10月頃には樹皮や落葉の下などで越冬
防除方法としては、
- 新葉展開期、葉の褐変を注視し、見つけ次第潜葉幼虫を葉ごと摘除処分
- 成虫を見つけて捕殺
- 成虫の発生時期に、樹幹に殺虫剤を散布
などがあります。
今の時期だと「葉内で生活している幼虫を葉ごと処分する」、「樹幹に殺虫剤を散布する」が考えられますが、樹が大きいと大変ですね。
ケヤキは強い樹なので、この種の被害で枯れることは滅多にないと思います。幼虫の潜入した葉を出来るだけ処分するだけでも十分効果があると思います。
使用できる農薬
使用できる農薬としては、
- MEP乳剤
があります。
“アカアシノミゾウムシ” の詳細については下記の記事をご覧ください。
下記の記事では ”ヤノナミガタチビタマムシ” ついて取り上げていますので、よろしければご覧ください。
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