チャミノガ

この記事では、樹木を加害する “チャミノガ” について、当サイトの管理人 “kodachi” が本などで調べたことを記録しています。

“チャミノガ” は、「葉を食べる害虫(食葉性害虫)」です。

目次

分類

チャミノガ はチョウ目ミノガ科に属する虫(学名:Eumeta minuscula (BUTLER))で、本州以南に分布します。

加害樹種

チャミノガ はイヌマキ、ラクウショウ、クスノキ、ゲッケイジュ、ニレ、エノキ、ケヤキ、ニセアカシア、カナメモチ、マサキ、チャノキ、カキノキ、ツツジ類、サクラ類、モクセイ類、ナラ類、カシ類、カエデ類など多くの針葉樹・広葉樹の葉を食害します。

形態

成虫:雄成虫の開張は約20〜27mm、体色は暗褐色。雌成虫は翅と脚を欠き円筒形(ウジ状)で、体長は約20mm。体色は赤褐をおびた黄白色。

雌成虫は産卵して生涯を終えるまで蓑の中に留まります。

卵:楕円形で黄白色。長径約0.8mm、短径約0.6mm。

幼虫:成長すると体長17〜25mmに達する。頭部は黄白色で多数の黒褐色斑紋があり、体色は黄白色で胸背部に褐色斑がある。

蛹:雄は紡錘形で赤褐色、体長は約13mm。雌は長楕円形で赤褐色、体長約17mm。

ミノ:長さは23〜40mm。表面に長、短、太、細の小枝を多数、縦に密に付着させる。蓑の外形は円筒状、上方でやや角張り、下方で細まっており、オオミノガのように紡錘形とはならない。

蓑を作る際の小枝の使用は4〜5齢期以降で、幼齢期の蓑は オオミノガの蓑と似ています。

写真1 “チャミノガ” の蓑
写真2 蓑の表面の拡大写真

蓑が小枝や樹皮などでできているのがわかりますね。

写真3蓑の内部と中の幼虫

蓑の内壁は糸状物で保護されています。

写真4 “チャミノが” の幼虫
写真5 “チャミノガ” 幼虫の頭部

幼虫の体色が違うように思うんですが・・・

う〜ん・・・
少し自信がありません^^;

チャミノガオオミノガ蓑の違いを下表にまとめてみました。見分ける時の参考に。

スクロールできます
チャミノガオオミノガ
蓑の形円筒状紡錘形
蓑の長さ23〜40mm35mm〜50mm
蓑の素材小枝や葉を多数つける葉や小枝
チャミノガほど小枝は多くない
蓑のつき方枝に直接ついているような場合が多い枝から糸で吊り下げる

生活史

チャミノガ は、普通1年に1回発生します。

  1. 成虫は5月下旬〜7月に出現
  2. 雄が夕方飛翔して雌の蓑の入り口に止まり、交尾器を蓑の中に入れて交尾
  3. 雌は蓑の中に産卵(1,700〜3,000粒/頭)
  4. 幼虫は6〜8月上旬に孵化し、蓑の下部から外へ脱出する
  5. 脱出した幼虫は蓑を伝って葉または小枝に到着するか、糸を吐きながら垂下し、風で分散
  6. 寄主植物へ到達した裸の幼虫は樹皮・枝・葉を小さく噛み切り、これを糸で綴って蓑をつくる
  7. 蓑を作り終えた幼虫は葉を摂食しながら成長
  8. 幼虫は10上〜中旬には摂食をやめ、蓑の上端を閉じ、枝に固着させて幼虫体で越冬
  9. 翌春、4月〜6月に蓑の上端を開口して再び葉を摂食する
  10. 蛹化は5月下旬頃から始まる

オオミノガ のように蓑を枝から絹糸で吊り下げることはほとんどありません。

アイキャッチ画像を見ると枝にくっついている感じですね。

被害の特徴

  • 幼虫と雌成虫が葉を食害
  • 若齢幼虫は葉の表皮を残して裏側から食葉するので、薄皮を一枚残した食害痕が点々と残る
  • 小円形の孔となることが多い
  • 卵塊で産下されることから、被害が集中的に発生する事例が多い
  • 成木では生育にほとんど影響しないが、食害痕が褐変し、蓑が目立って景観を損ねる

チャミノガ は高温・乾燥の年に多く発生します。

防除方法

  • 葉や枝に形成された蓑を早めに取り除く
  • 幼虫の若齢期に殺虫剤を散布する

被害の発生は普通局所的で、しかも集団で発生しますので、幼虫を蓑ごと捕殺するのが最も簡単で効果的です。

蓑の中に潜んでいる幼虫・成虫に届くような殺虫剤はありませんので、農薬を使っての防除は難しいです。

使用できる農薬

樹木に発生する ミノガ類 に使用できる農薬として、

  • DEP乳剤

があります。

被害発生初期、あるいは盛んに葉を摂食している時期(4〜6月、8〜10月末)に、複数回散布しましょう。

よろしければ、こちらの記事もご覧ください。

オオミノガ については下の記事もご参照ください。

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