この記事では、樹木を加害する “オオミノガ” について、当サイトの管理人 “kodachi” が本などで調べたことを記録しています。
分類
“オオミノガ“ はチョウ目ミノガ科に属する虫(学名:Eumeta variegata (Sneiien))で、本州以南に分布します。
とりわけ、西日本に多いようです。
加害樹種
“オオミノガ“ はスギ、ヒノキ、マツ、イチョウ、カキノキ、ツツジ類、サクラ類、モクセイ類、ナラ類、カシ類、カエデ類など多くの針葉樹・広葉樹の葉を食害します。
形態
成虫:雄成虫の開張は約35mm、体色は暗褐色。雌成虫は翅と脚を欠き円筒形(ウジ状)で、体長は25〜30mm。体色は赤褐色で、頭と胸部に光沢があります。
雌成虫は産卵して生涯を終えるまで蓑の中に留まります。
卵:楕円形で黄白色、長径約1.0mm、短径約0.9mm。
幼虫:成長すると体長25〜30mmに達する。頭部は灰褐色〜暗褐色、胴部は淡黄白色〜淡黄褐色。
蛹:雄の体長は約20mm、全体に赤褐色。雌は体長23〜25mm、体形は円筒状で両端が細まり、赤褐色。
蓑:形は紡錘形、長さは35〜50mm。表面に葉や小枝を付着させるが、”チャミノガ” ほど小枝を密につけない。
“オオミノガ“ の蓑は主に葉でつくられます。
この蓑はヒノキの葉でつくられているのが良くわかりますね。
“チャミノガ“ の蓑は葉よりも小枝が良く目立ちます。
生活史
“オオミノガ“ は、普通1年に1回発生します。
- 成虫は5月下旬〜8月に出現
- 雄が夕方飛翔して雌の蓑の入り口に止まり、交尾器を蓑の中に入れて交尾
- 雌は蓑の中に産卵(1,000〜4,000粒/頭)
- 幼虫は6〜7月に孵化し、蓑から出て吐糸した糸にぶら下がり、風で分散
- 寄主植物へ到達した裸の幼虫は樹皮・枝・葉を小さく噛み切り、これを糸で綴って蓑をつくる
- 幼虫はその内部に潜み、吐糸、垂下しながら餌を求めて蓑をつけたまま移動、食葉して成長
- 幼虫は10〜11月まで葉を食害し、蓑の上端を小枝に固定させて幼虫体で越冬
- 翌春、4〜6月に蓑の中で蛹化し、成虫になる
被害の特徴
- 幼虫と雌成虫が葉を食害
- 若齢幼虫は葉の表皮を残して裏側から食葉するので、薄皮を一枚残した食害痕が点々と残る
- 小円形の孔となることが多い
- 卵塊で産下されることから、被害が集中的に発生する事例が多い
- 成木では生育にほとんど影響しないが、食害痕が褐変し、蓑が目立って景観を損ねる
”オオミノガ” は、高温・乾燥の年に多く発生します。
防除方法
- 葉や枝に形成された蓑を早めに取り除く
- 幼虫の若齢期に殺虫剤を散布する
被害の発生は普通局所的で、しかも集団で発生しますので、幼虫を蓑ごと捕殺するのが最も簡単で効果的です。
使用できる農薬
樹木に発生する “ミノガ類“ に使用できる農薬として、
- DEP乳剤
があります。
被害発生初期、あるいは盛んに葉を摂食している時期(7〜8月末)に、複数回散布しましょう。
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