マツノキハバチ

この記事では、樹木を加害する マツノキハバチ” について、当サイトの管理人 “kodachi” が本などで調べたことを記録しています。

マツノキハバチは、「葉を食べる害虫(食葉性害虫)」です。

目次

分類

マツノキハバチ は膜翅目ハバチ科に属する虫(学名:Neodiprion sertifer (Geoffroy))で、本州・九州に分布します。

加害樹種

マツノキハバチ は、幼虫がアカマツ、クロマツ、ハイマツなどに群棲して葉を摂食し、しばしば若齢林や疎開した林で大発生します。

形態

成虫:雌は体長約9mm、体色は全体に黄褐色で、中胸小楯板、後胸背板、第一腹節背面は黒色。雄は体長約8mm、体色は全体に黒色。

卵:紡錘形で光沢のある黄白色。長径1.8mm、短径0.5mm。

幼虫:若齢時の体色は淡黄緑色で頭部は淡黒褐色ですが、終齢期になると胴部背線の両側、気門の上下部は黒色に、また、頭部は光沢のある黒色になります(ギャラリー内写真1〜3)。体長は約20mmです。一方、高地のハイマツを加害する幼虫は体色が緑色〜黄緑色で背面が僅かに黒く、平地のものと著しく色彩が異なります。

蛹:楕円形で中央部が少しくびれます(ギャラリー内写真4)。大きさは長径8〜10mm、短径3.5〜4.5mm。色は褐色〜黄褐色です。

主に前年葉を食害するハバチ類には、マツノクロホシハバチとマツノミドリハバチがいます。前者はカラマツに、後者はアカマツに多く発生します。

3種は頭部と胴部の色で識別できます。

  • 頭部、胴部ともに黒色 → マツノキハバチ
  • 頭部は黒色、胴部は黄色 → マツノクロホシハバチ
  • 頭部は橙黄色、胴部は緑色 → マツノミドリハバチ

生活史

マツノキハバチ は、普通1年に1回(高地では2年に1回)発生します。

  1. 4〜5月、幼虫が出現
  2. 幼虫の期間は平均28日間で、雌は4齢、雄は5齢を経て5月上旬〜6月上旬に老熟
  3. 老熟した幼虫は地上に降りて、落葉落枝の中に繭を作り、繭内で夏を過ごす。
  4. 9月上旬から10月上旬に蛹化
  5. 蛹期は平均17日間で、羽化した成虫は約6日間繭内に留まった後、繭の端を噛み切って9月下旬から10月下旬に脱出
  6. 成虫は脱出1〜2日後に交尾し、枝梢先端部の針葉組織内にほぼ等間隔に産卵
  7. 産卵数は平均80粒/匹
  8. 針葉に生み込まれた卵の状態で越冬

2年に1世代を経過する場合、1年目は卵で越冬し、7月〜8月に幼虫が出現。出現した幼虫は8月に営繭して2年目の冬を越し、翌々年の8月に羽化します。

被害の特徴

  • 葉の摂食は春季(4月下旬〜5月)に多発
  • 若・壮齢幼虫は群棲し、一本の針葉を数頭の幼虫が取り囲むように摂食(ギャラリー内写真5)
  • 幼虫が針葉(前年葉)を摂食するため、前年枝が部分的に歯抜け(葉抜け)になる
  • 1〜2齢虫の食害は針葉の中肋を糸状に残すが、3齢以降は針葉を先端から食い尽くす(ギャラリー内写真6)
  • 実害はあまりないが、多発すると成長が衰える

幼虫は刺激を受けると頭胸部をそり返し、口部から体液を出します。

防除方法

  • 群棲する幼虫を小枝ごと切除して捕殺する
  • 発生が多いときには殺虫剤を散布する
  • 枝梢先端部の針葉に産みつけられた卵を除去

幼虫は、終齢期には群棲せず単独で活動するようになりますので、成長して分散する前(群棲している時)に対処すると、効率よく駆除できます。

産卵された箇所は褐変するのでわかりやすいですが、小さいので探すのは大変です。

使用できる農薬

樹木に発生する マツノキハバチ の幼虫に使用できる農薬としては、

  • MEP乳剤
  • DEP乳剤(劇)
  • ジフルベンズロン水和剤

などがあります。

使用できる農薬は、使用できる作物を”まつ類”、病害虫名を ”ハバチ類” で検索すると見つかりますよ。

老齢になると農薬に強くなるので、できるだけ若齢時に防除しましょう。

ギャラリー

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